私は述べ4社の上場企業にて勤務してきたが、起業後に中小企業の経理を見てもったいないと思うのは「月次決算を経営者に報告する」ことができていないことだ。
月次決算とは?
「なんとなく資金繰りが不安」「経理が何やっているかわからない」会社はほとんどのケースで月次決算をやっていない。月次決算とは、月ごとの決算を締めることだ。インプットすべき資料(領収書、請求書、口座振替通知、支払通知、給与計算、税金資料等)をしっかりと整え、経理部が仕訳・資料作成し、経理部が経営者へ決算内容を報告するまでをワンセットで行えることが望ましい。クラウド会計システムを利用すると面倒な記帳などがなくなるので尚良い
月次決算にはリードシートを作成しよう
また、月次決算ではリードシートを作ることをお勧めする。監査法人は上場企業の決算監査では、初日にリードシートを作成する。このリードシートとは平たくいえば推移表だ。この「決算数値を推移で見る」ということが資金繰りや経理の業務理解に繋がる。数字は一つだけでは良し悪しが判断できない。数字は比較することでしか良し悪しを判断できない。よって、月次決算で出た数値は、先月の数値、昨年の数値などと比較することで経営状態を把握することができる。
リードシートの作り方については武田雄治先生の著書「経理の仕組み」で実現する 決算早期化の実務マニュアル」にサンプルがたくさん載っているので参考にすべき。
リードシートの効能
リードシートで数値を推移で見ると異常値の発見、ゼロであるべきものがゼロになっていないなどのミス・間違いなどが発見しやすい。また、経理マンは数値の変化について会社のストーリーと共に説明できるようでなくてはならない。ストーリーと共に説明できない数値の変化がある場合、それは数値の間違いかストーリーの間違いである。推移を見ているとあたかも数値が全て正しいように思えてくるが、自分の入力した数値が全部間違っているんじゃないかという疑いの目も必要となってくる。
月次決算の説明方法
- 「今月の3トピック」といった具合で3行で大枠を説明できるようにする
- 淡々と事実を話す。良かった、悪かったなどの私見は言わない
- 先月や前年の実績と比較、計画値との比較を説明する
- 資金繰りについては必ず計画と実績のずれを説明し、計画を修正した見込値を入れると尚良い