決算開示が早い会社

2023年1月4日の朝7時30分にあみやき亭さんが2023年3月期3Qの決算を発表している。。
恐ろしい速さだ。2022年12月までの決算をたぶん4時間ぐらいで終えている。たぶん中小企業さんにはこのすごさが伝わりにくいだろう。決算短信なので監査はどこまで入っているか不明だが、たぶん監査法人も深夜から数値チェックしている。とんでもない連携プレーだ。

ちょっと古い記事だが、このあみやき亭さんのスピードの秘密に迫った記事は大変驚かされた。

https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL24HQ3_R00C15A5000000/

愛知県春日井市の本社では午前3時から2人の経理担当者が決算短信の作成に取りかかった。全国約230店舗から集めた3月31日の営業実績をまとめ上げ、昼の12時に作業が完了した。3月期決算企業の発表一番乗りは、同着も含めて5年連続だ。

超高速の決算発表のからくりは8年ほど前から始めた「日々決算」だ。小売業では月間や四半期の売上高速報を発表する企業も多いが、あみやき亭は原価率などの計算も毎日行っている。日々のデータを集計しておき、3月31日分だけを積み上げれば決算短信の作成にかかれるという具合だ。

決算開示早期化はメリットが多い

  • 経営者の強力なリーダーシップがないと無理
  • 飲食店特有のアルバイト給与計算、仕入先からの請求書受領など外部の協力も必要
  • 監査法人とのコミュニケーションも定期的に行っているはず
  • 3月期決算→新しい法規対応などへのいち早く取り組む→証券印刷会社とも密に連携しているはず
  • 決算からのPDCAを回すのが早いので経営の問題点にもいち早く取り組める

私は上場企業の経理をやっているときはホギメディカルさんをよく参考にさせていただいていた。ホギメディカルさんは今でも8営業日には決算開示をしているようだ。8営業日というとちょうど個別や連結の数値が締まってきて開示について他社事例を集めるタイミングだったのでありがたかった。監査法人もホギメディカルさんは参考にしていたので、ホギメディカルさんの経理は、決算開示への取り組みについては日本トップレベルの経理チームなのではないか。

決算早期化は、武田雄治先生の著書「経理の仕組み」で実現する 決算早期化の実務マニュアル〈第2版〉を強力にお勧めする。業務を単に切り詰めるとか作業を早くするとかそういう次元ではなく、開示という最終アウトプットをイメージしながらインプットを全て見直すといった作業だ。人生の中で最も読み込んだ本かもしれない。上場企業の開示担当者はぜひ一度読んでみていただきたい。この本のエッセンスはどこの会社の経理に転職しても使えると考える。