月次決算を早期化したい時に見直したい3つのポイント

中小企業を見てきて、なぜかわからないがお金が減っていく会社、なぜか経理が遅くまで残業したり休日出勤している会社は、ほとんどが月次決算を行っていません。月次決算は経営者に経営状況を伝える最小単位であり、会社にとって健康診断のようなものです。健康診断を行えないと会社がどれくらい病気なのか健康なのかもわかりません。

また月次決算は遅くてもあまり意味がありません。なるべくタイムリーに経営者に状況をフィードバックすることで早めの経営対策を整えることが大事です。この月次決算を早く行おうとする行動こそが経理の価値創造の一つと考えます。

月次決算の理想的スケジュール

第1営業日:(現場)勤怠締め、人事資料締め
      (経理)小口現金の締め、入力完了
          前月の銀行口座明細、入力完了
第2営業日:(現場)経費精算の締め
      (経理)請求書 入力
第3営業日:(現場)売上証憑の締め
      (経理)請求書 入力
          経費精算 入力完了
第4営業日:(現場)請求書 経理への提出締め
      (経理)請求書 入力
          売上  入力完了
第5営業日:(経理)請求書 入力完了
          給与計算 取込
          減価償却、原価計算 入力完了
第6営業日:(経理)内訳書(リードシート)、財務分析
第7営業日:(経理)内訳書(リードシート)、財務分析 完了
第8営業日:経理部内でのリードシート報告会、月次数値の締め
第9営業日:資料作成、確認
第10営業日:経営者への月次決算報告会

書類の締め日を設定する

上記スケジュールのように現場の方に強く締めの意識を持っていただくことが必要となる。現場と経理は持ちつ持たれつの関係。現場に締めをきっちり守っていただいた代わりに、経理は最高の経営資料を提出する。そのお互いに牽制した関係を築くこそ経営の強化に繋がると考える。

月初の業務スケジュールを明確にする

大枠のスケジュールは上記営業日ごとに動くとして、その会社独自の証憑や計算ルールがある場合、どのようにスケジュールを守るかを検討することが必要。中小企業の経理マンは「会社ごとの独自ルールを守る」ことに重きを置きがちだが、第10営業日に経営者に報告すること以上の優先順位は無い。また、私は20社以上の独自の経理ルールに出会ってきたが、本当に独自なものは少なかった。たいていは使用している会計システムの不便なところをカバーする運用や「今までやってきた安心感」からくる無駄なものが多い。経理の改善を行っていく中で「過去の否定」をしすぎるとうまく進まないケースも多いので直接的に無駄とは言いにくいが、独自ルールが非効率であることを様々な角度から気づかせるようにすることも大事である。

業務システム(=仕組み)の見直し

今日の会計システムの発展はめざましく、私も2017年ごろからクラウド会計システムを触るようになったが、今までシステムとシステムをつなぐために必要であった運用がかなり少なくなった。銀行口座やクレカ連携、給与計算や請求書などとのシステム連携も積極的に取り入れていきたい。また、経理マンの多くが「一度エクセルで計算したものを会計システムに仕訳を入れる」ということを行っているが、マネーフォワードやfreeeなどでは、エクセルの仕訳帳をインポートできる機能があるため、普段使っているエクセルを加工することで仕訳データとして取り込むことができるので積極的に利用されたい。

個々人がどれだけ業務スケジュールを「前倒し」できるか

上記の月次決算スケジュールはあくまで目安であり、このスケジュールをいかに前倒しするか経理マンが常に意識しなくてはいけない。経理がもっとも時間を使うべきところはリードシート作成時における財務分析である。この財務分析については武田雄治氏の書籍と動画を参考されたい。