中小企業が小口現金管理を廃止したい時の3つのヒント

小口現金は便利なのか?不便なのか?

中小企業の経理マンにとって、手元にあると便利な小口現金。しかしながら現金を会社で管理していくためには様々なルール決めがあるなど手間がかかる不便な面もあります。

まず代表的な現金管理ルールは以下が挙げられます。

◆定期的に残高を管理しなくてはいけない

小口現金は基本的に毎日、最低でも入出金があった日は現金の在高を確認し、現金出納帳に記帳しないといけません。小口現金は会社の資産の一部ですから、1円も間違えることはできませんし、厳格な管理が求められます。また、月末には再び残高を確認し、会計帳簿と突合させるなど次月繰越作業を行わなければなりません。これらの管理は一日では1時間もかからない作業ですが、月単位で換算すると相当の時間的コストがかけられています。

◆盗難や紛失リスクを防がなくてはいけない

中小企業では、経理業務を一人で行っている会社が多く、金庫の保管や社員の横領に対して上場企業のような統制を敷くことが大変難しいです。ましてやこのコロナ禍において、誰がいつ出社するかわからないような状況で、万が一現金が紛失したとなると社員同士の信用問題など無用なトラブルに発展しかねません。

◆現金出納帳を会計システムに入力する手間がかかる

こちらはルールというよりは手間の問題ですが、とある中小企業に初めてお邪魔させていただいた際、一つの現金出金に対して、①現金出納帳に取引を記載し、②現金出納帳の内容を手書きの会計伝票に仕訳処理し、③会計システムに仕訳を投入するという3段階の処理を行っていらっしゃいました。現在のクラウド会計システムでは現金出納帳をそのまま取り込める機能が備わっているものもありますが、そもそも現金出納帳を廃止した方が効率的と言えるでしょう。

お試しください。小口現金廃止の際のヒント3点

1.現金の売上金は毎日、銀行口座に入金する

毎日の売上金が現金にて入金される業種の方は、営業時間中は現金を金庫に入金しておき、営業が終了した際に近くのATMで毎日入金をしましょう。これにより、現金出納帳の「入金」項目をなくすことができると思います。また、銀行口座に入金することは、「銀行口座に入金した金額が記載」されます。つまり、銀行という第三者にて入金した金額が証明されるため、盗難防止や紛失リスクを減らすことにも繋がります。

2.仕入先に請求書を発行いただく

飲食店などに多いですが、仕入業者が納品してきたときに納品書と引き換えに現金を払っているケースが見受けられますが、現金払いをやめて請求書を発行いただき、まとめて銀行振込で支払うようにしましょう。

3.経費精算をシステム化する

役員や従業員が利用した経費を小口現金で精算している会社をよく見ますが、経費精算はすればするほど手間がかかります。給与を支払う際に同時に支払うように運用変更しましょう。経費精算クラウドシステムやエクセルシートでも小口現金を使わずに経費精算を効率化することはできます。どうしても金額が大きい場合には会社が仮払するなどして現金を使わない工夫をしましょう。また、補足ですが、経費精算を止める際に「会社のクレジットカードを発行しよう」というアイディアが良く出るのですが、これは業務削減にはつながりますが、その使いやすさから「経費」は削減できずに増加する傾向がありますので、あまりお勧めしません。

経理業務の改善→小さなことの積み重ね

経理業務の改善は、オセロの白と黒がひっくり返るような劇的なものはなく、小さい改善を積み重ねることで「気がついたら早く終わるようになっていた」ということが多いです。また、ここが一番大事なところですが、業務効率化とは、業務を短縮したりわかりやすくするのはまだまだ2流で、本当の効率化とは「業務を失くす」ことです。小口現金の管理やその他の業務でも、毎日の当たり前を疑う、もっと良いやり方があるのではと試す、ことがとても大事です。目の前の業務に没頭するだけではなく、たまには自分を俯瞰して遠くから見てみることも大事です。
皆様の業務効率化の一助となれば幸いです。もし経理業務の改善で困ったことがあればお声がけください。